
子供の苦手教科の第一位は,なんと言っても「算数!」
算数は,一度苦手になると,どんどん苦手になっていきます!
そのため,早めに算数の苦手意識を取り除くことが大切です。
でも,
算数の苦手意識をどうやって取り除けばいいの?
算数を好きになる方法はないのかしら?
そう思う親は多いと思います。
その解決策の一つが「算数脳を育てること!」
今回は,算数脳を育てるために親が知っておきたい8つのことを紹介します。
目次
算数脳を作る前に親がまず知っておきたいこと
脳には,「頭頂間溝」という数字の情報処理機能をつかさどる場所があります。
数字が苦手な人は,この頭頂間溝の領域が小さいことが分かっています。
頭頂間溝の領域が小さい人の割合は,約10パーセントと言われています。
そして,この頭頂間溝は,訓練しても大きくならないことが分かっています。
また,算数の苦手意識は連鎖するというデータもあります。
一般に,女性は,男性に比べると算数があまり得意ではないと言われています。
海外の研究では,算数が苦手と思っている女性教師に算数を教えられた女子生徒は,算数に苦手意識を持つようになるという結果が出ています。一方,男子生徒は,そのような先生に教えられても,算数に苦手意識を持ちにくいようです。
このように,算数が苦手と感じている子供の中には,遺伝が関わっている場合や苦手意識の連鎖が関係していることがあるのです。
そして,算数が苦手と感じている子供は,「次は算数の時間か」と思うだけで不安や苦痛を感じます。
そのような子供に対して,算数の宿題や勉強をさせようとすると,精神的な苦痛を与え,算数がどんどん嫌いになっていきます。
もし子供が算数を苦手と感じているようなら,子供に苦痛を与えないような配慮をしてあげる必要があります。
まずは,このことを覚えておいてくださいね。
「好き」という気持ちが算数脳を作る!
一般に,算数ができないのは「本人の努力不足」と思われがちです。
そのため,子供がテストで悪い点を取ってくると,親も「なんでちゃんと勉強しないの!」とつい怒ってしまいます。
でも,この態度を取ってしまうと,子供はどんどん劣等感を植え付けられ,ストレスをため込んでしまいます。
そして,これが繰り返されると,算数がどんどん嫌いになり,元に戻すのが大変になります。
算数は,遺伝的な要素が関係していることがあります。
親は,そういう遺伝的な差があることを理解して,温かく受け入れてあげることが大切です。
算数が不得意なのは走るのが遅いなどと同じで,その子の個性です。
「計算が遅いのは個性」と考えれば,計算が遅いからといって,叱るのはNGということが分かると思います。
そんなことをしたら,算数が嫌いになり,更に苦手意識が強くなるだけです。
そして,算数は得意ではないとしても,好きという気持ちになれば,子供の苦痛を取り除くことができます。
算数が好きになると,多少,間違っても,算数の問題に取り組むことができます。
算数の問題に取り組めば,自然と算数脳が鍛えられます。
子供の「算数が好き!」という気持ちが何よりも大切なのです!
ですから,親としては,子供の気持ちが「算数が好き!」となるようにフォローしていくのがとても大切です。
例えば,家庭で算数の勉強をするときは,机の前に座りっぱなしではなく,一緒にお風呂に入ったときに九九を唱えるなど,親子で楽しみながら取り組むなどが効果的です。
このようにして,少しずつでも子供の「算数が好き!」という気持ちを育てながら,算数に触れさせるようにしましょう。
文章問題も「楽しい」で克服!クイズ感覚で算数脳を鍛える!
計算は得意なのに文章題は苦手という子供も多くいます。
算数の文章問題を解くには,文章の意味や状況を正しく理解する必要があります。
国語は得意なのに算数の文章問題は苦手という子供もいます。
これは,算数の文章問題を解く際には,国語力ではなく,筋道を立てて物事を考える「論理的思考力」が必要となるからです。
論理的思考力は,普段の生活の中でも楽しく鍛えていくことができます。
例えば,「このお菓子を3人で分けると,1人に何個配ればいい?」と聞いたり,子供の答えに対して「どうしてそう思ったの?」と聞くようにすると,自然と論理的に説明する習慣が身につきます。
ここでのポイントも,子供に「算数って楽しい!」と思ってもらうこと!
勉強をさせられているのではなく,クイズのように楽しんでやることで,答えが間違っていても,またチャレンジしようという気持ちになります。
ポイントは子供を楽しませることです。
そのためには,答えが正しいかどうかで一喜一憂せず,親も一緒に楽しむことを心がけることが大切です。
体を使って算数脳を鍛える!
子供は,計算するときに指を使うことがありますが,体を使って学習するのは,とても効果的です。
小さいうちは,体を動かしながら情報を処理していきます。
これを何度も繰り返すことで,実際に体を動かさなくても脳だけで処理ができるようになります。
ですから,子供のうちは,手を使ったり声を出して問題を解いても,これを無理にやめさせる必要はありません。
子供が低学年であれば,数直線を書いて解かせるのも効果的です。
4+2であれば,4の位置から2つ右に進んで6になるというふうに答えを導きます。
記憶は,ただ唱えるよりも書くことで定着することが分かっています。
体を使って算数に取り組むことで,算数脳も鍛えられるのです。
簡単な計算問題の繰り返しで算数脳を鍛える!
計算問題は,いきなり難しいものにチャレンジするのではなく,簡単な問題から解くようにするのがポイントです。
簡単な問題を何度も解いて,達成感を積み重ねることによって,脳の神経回路が太くなり,苦手意識を克服することができます。
また,計算問題は,1+1=2,1+2=3…というような問題を順番に解くのではなく,3+2=5,4-2=2…というようにランダムな問題を解いた方が神経回路が太くなります。
さらに,簡単な計算問題をすると,脳が活性化することが分かっています。
そのため,簡単な計算問題から勉強をスタートすると,その後の勉強も効率よく行うことができます。
最近は,計算アプリを使って勉強する人も増えています。
アプリを使うメリットは,遊び感覚で始められるところです。
子供が算数に苦手意識を持っている場合には,苦手意識を取り払うきっかけとしてアプリを試してみるのもいいかもしれませんね。
苦労して勉強することで算数脳を活性化する!
しっかりと勉強したつもりでも,テストで思い出せないことってありませんか?
その原因は,インプットの方法にあるかもしれません。
脳は,苦労すればするほど,よく覚えているという特徴があります。
スラスラと読みやすい文章は,「苦労せずに覚えられた!」と錯覚しがちですが,実は脳には定着していないことが多いのです。
それよりも,文章を一文ずつ読み,「これはどういうことなのかな?」と考えながら時間をかけてインプットする方が,学習効果が高いことが分かっています。
アウトプットで算数脳を活性化する!
アウトプットを意識すると,学習効果が格段に上がります!
教育心理学の実験で「リトリーバル・トレーニング」というものがあります。
2つのグループに同じ方法で単語を40個覚えてもらいます。
翌日に,一方のグループには前日の単語40個を再度見てもらいます。
もう一方のグループには単語40個をできる限り思い出してもらいます。
その後,両方のグループにテストをすると,「思い出した」グループの方が,成績が約30%高いという結果となりました。
また,「再度見た」グループは,ストレスがかかると,更に1~3割成績が落ちることが分かりました。
単語を見直すだけよりも,「思い出す」というアウトプットを行うことで,学習効果がアップしているのです。
そのため,算数のテストなどを復習するときは,もう一度解いてみるのが効果的です。
このとき,間違った問題だけでなく,全ての問題を解かせると更に効果が高くなります。
また,学校でどんな学習をしたのかを子供に聞くときも,より具体的な質問をして「思い出す」という作業をさせることで,リトリーバル・トレーニングを簡単にすることができ,学習効果が高まります。
立体思考力を鍛えて算数脳を活性化する!
図形問題には,立体思考力を鍛えるのが効果的です。
立体思考力は,脳内の「上頭頂小葉」が担っています。
立体思考は,2つの思考に分けられます。
① 水平思考…物事を他のことに広く応用する思考
② 垂直思考…物事を深く掘り下げる思考
この立体思考力を鍛えることで,見取り図や展開図を読み取れるようになります。
立体思考力は,図形をよく見ることで鍛えることができますが,ほかにも方法があります。
例えば,ある人の顔の正面からの写真と,横からの写真を見て同一人物だと判断することができる能力を,メンタルローテーションと言いますが,この能力を使うと,立体思考力と同じく,上頭頂小葉が活性化します。
つまり,メンタルローテーションを鍛えることで,立体思考力も鍛えられるのです!
日頃から「同じものを様々な角度から眺める」,「視点を固定していろいろなものを眺める」という癖をつけておくと,立体思考力を鍛えることができます。
遊びながら立体思考力を鍛えることもできます。
例えば,立体パズルやブロックなどで遊ぶことで,立体的思考力は鍛えられます。
様々な立体図形や平面図形に触れることで,多方面から観察する力や視点を変える力が自然と育ちます。
また,パズルやブロックなどで遊ぶときは,頭の中で完成イメージを描いて,どのような順番で組み立てるかの計画を立てて実行します。
うまくできなかったときは,どうしたらうまくいくのかを考えます。
この一連の思考訓練を,遊びながら行っていくのです。
そのほかにも,外遊びで立体思考力を鍛えることができます。
例えば,昔ながらの缶蹴り遊びやかくれんぼをしているとき,子供は,空間全体を三次元的に捉えて「あそこの後ろに○○くんが隠れている」と推測するなどを行っています。
机にへばりついて勉強するのは,子供にとって苦痛になりやすいので,遊びも取り入れながら,楽しく算数脳を鍛えていきましょう!